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第2回(2005年度)関西支部 中部支部 中国・四国支部合同学生論文コンテスト

都市住宅学会関西支部,中部支部,中国・四国支部では,第2回学生論文コンテストとして, 2006年3月11日(土),大阪ビジネスパークにあるURサポート会議室において,3支部の合同公開発表会と審査,表彰式を開催した。発表会では,卒業論文部門の応募論文1編と,修士論文部門の応募論文5編についてそれぞれ発表と質疑応答が行われ,7名の選考委員からなる選考委員会による審査の結果,下記のように,卒業論文部門の1編を優秀賞とし,修士論文部門では最優秀賞1編と優秀賞2編を選出した。

卒業論文部門優秀賞
吉本 一規[大阪大学工学部地球総合工学科建築工学科目]
社会空間構造の変化から見た千里ニュータウン近隣住区の個性化プロセスに関する研究
授賞理由:居住者や地域団体の活動が住環境に及ぼす影響を住環境の個性化ととらえ,千里ニュータウンの古江台,新千里西町を対象に,空間と社会の両側面の時系列変化を示すとともに,その個性化プロセスを評価したものである。地域コミュニティ組織と住環境のマネジメントの関係に視点を据えた今日的なテーマを扱い,有意義な結論を導いた点が高く評価された。

修士論文部門最優秀賞
藤井 一成[神戸大学大学院自然科学研究科建設学専攻]

密集市街地における協調的住環境改善手法とその評価に関する研究-神戸市における接道不良区域の事例分析を通して-
授賞理由:密集市街地整備において,個別更新を小集団での合意にもとづいて進める協調的更新に着目し,接道不良区域の類型,連担建築物設計制度など既存制度の分析,合意形成プロセスの評価,モデル地区での手法の有効性評価から,協調的手法の適用条件を明らかにしている。多様で実証的な分析方法や明晰な論旨展開,現実的にも十分有用な結論を導いた点がより高く評価された。

修士論文部門優秀賞
下渡 純司[大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻]

千里ニュータウン新千里東町における住環境変容と居住者の住まい方の経年変化に関する研究
授賞理由:府営住宅団地を対象に40年間にわたる住環境の変化と,それに対応する住戸の個室から団地にいたる居住者の社会的領域の変化を,ヒアリングや住まい方調査などからとらえ,両者の関係を論じたものである。詳細な分析から,空間変容と,居住者の住まい方,生活の向きとの関係に一定の関係性を見出した有意な結論とそこにいたる論旨の的確さが高く評価された。

西村 敬[京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻]
京都市都心部の町家街区における戸建住宅モデルに関する研究-敷地内の空地と建物の関係に着目して-
授賞理由:京都市都心部においてまちなみを形成する戸建住宅の壁面位置に注目して,新規に建設された戸建住宅を対象に,セットバック距離の分析,敷地内の建物と空地の関係のモデル化を通じて,その景観形成の課題を明らかにしたものである。テーマが明解であり,実証的な調査分析から,具体的な景観形成手法につながる有用な知見を見出した点が高く評価された。

文責:三輪康一(都市住宅学会関西支部学生論文コンテスト実行委員長)